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Vol 4. ありのまま、ブータン

Vol 4. ありのまま、ブータン アプ・ボクトと樽の物語②:待っていたのは・・・

2015.08.14

さて、Athang社によるアプ・ボクト(Ap Bokto)のお話、第2話です。

 
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家族のために、遠くのお寺の祈祷式に参加することを決意したアプ・ボクト。
出発の朝は、それは清々しいものでした。

 
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「どうか、気をつけて行ってきてね」と、心配そうに見送る奥さん。
「大丈夫。おらに任せておけ!心配しないでな。」と、自信満々のアプ・ボクト。

 
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アプ・ボクトはワクワクしながら、深い森の中へと旅路を進めていきました。
 

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しばらく歩くと、木の上から何やら妙な物音が聞こえてきました。
先を急ぐアプ・ボクトは、気付かないふりをして、どんどん歩いていきました。

 
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すると突然、目の前に大きな白い猿が現れたのです!
 

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アプ・ボクトは驚いて、怯えながら、その場から逃げ出そうと走り出しました。
 

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しかし、すばしっこい猿はアプ・ボクトの前に立ちはだかり、行く手をふさぎます。
「今日は、俺がおまえを食べる日だ。アプ・ボクト、観念しろ。」と、猿。
 

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「おらは、家族のために、どうしても遠くのお寺までたどり着かないといけないんだ。帰り道、君はおらを食べてしまっても構わないから、今はどうか堪忍してくれ。」と、命を請うアプ・ボクト。
「仕方ないな、必ず帰り道に捕まえてやるからな。今は行って良いぞ。」と、猿は承諾し、木々の中へと姿を消していきました。
安心したアプ・ボクトは、さらに森の奥深くへと旅路を進めていきました。
 
 
・・・・・・命乞いしたら、猿はあっさりと道をあけてしまうところが、何とも単純で、ブータンらしいですね。ちなみに、この白い猿、ブータンに実際に生息する、ラングールがモチーフになっています。
 

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こちらはブータン南部で撮影された、希少なゴールデン・ラングール。いかにも道をふさいできそうな、まるで山の主のような貫禄がありますね。
ブータンでは、少し標高の低い山道を車で走っていると、しばしば野生動物たちに出くわします。国民のほとんどが仏教徒のブータンでは、皆さん動物に対しても慈悲深く接するため、動物達は人間を恐れることなく、車のすぐ近くまで寄って来たりするんですよ。
 
つづきは、vol.5をお楽しみに。

Writer Profile

松尾 茜
松尾 茜Akane Matsuo

日本の大手旅行会社に5年間勤務した後、2012年よりブータン王国の首都ティンプー在住。ブータンの持続可能な観光開発事業に携わっている。地域固有の自然や文化、昔ながらの人々の生活を守りながら、ゆるやかに交流人口を増やし、地域経済を、訪れた人の心身を、着実に豊かにしていくような観光を、世界各地で促進していくことがライフワーク。

Ap Bokto
Ap Boktoアプ・ボクト

ブータン王国の田舎町出身。二児の熱血お父さん。農家で、家族と家畜と共に、昔ながらの伝統的な生活を営んでいる。敬虔な仏教徒でもある。

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