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毛穴の奥に見えたもの Vol.4

毛穴の奥に見えたもの Vol.4 Try.4「ドクターショッピング、
したくてしていたわけじゃないの」

2016.04.03

前回の続きです。
 
2011年3月11日。
あの東日本大震災の翌日、自宅近くのドトールで、海外不動産コンサルタントの方に会い、自分なりに経済的自立の準備をし始めました。
 
その年の11月、17年間連れ添った夫とは離婚しました。
 
震災の後、電話一本くれずに、数日後に何食わぬ顔をして帰宅した夫に、夫婦としての愛情も、父親としての責任感も感じ取れなかったのは、もしかしたら私のわがままだったのか、今となってはわかりませんが、ともかく郵便でのやり取りのみで、アッサリ離婚成立。
問題児だった次女(当時中学一年生)とは別居することになりました。
 
 
そしてその後、縁あっての再婚、長女の大学受験、土地探しからの注文住宅造り、引っ越し・・・・・・。
2012年は皮膚疾患にかまう暇もないくらい、凝縮された日々を過ごしていました。
 
 
2013年サクラサク。
長女は無事合格し、離れて暮らす次女も高校進学が決まりました。
 
新しい家族として、新居への引っ越しも終わり、何とはなしに散歩をしていたら、駅までの道の途中に、それまでは目に入らなかった小さな皮膚科が目に留まりました。
 
予約優先と書かれた看板は見ましたが、ずっと忘れていた赤い顔のことが急に気になり、その皮膚科の医師に対して何の予備知識も無いまま、飛び込みで診察を受けました。
 
「酒さってわかるかな?」
 
女医さんは優しく私に語りかけました。
「残念ながら、治る病気じゃないから、気長に付き合っていこうね」
 
そう言って、軟膏を処方してくれました。
最近ネットでも評判になったヒルドイドです。
 
(全然、気長に付き合いたくないっ!!)
 
特に治療法が無いという認識通り、保湿剤をだしてくれるだけだったので、3回通院してやめました。
 
 
ほどなくして、青山にスキンケアの専門医がいると聞き、受診に行きました。
 
50歳代であろう美しい女医さんは、私の顔を見ると
「アレルギーね」
 
肝臓が悪いので、解毒ができていない。
腸が悪いので、消化ができていない。
様々なアレルギー物質が体内にあるので、原因となるものを取り除かなくてはいけない
とのこと。
 
「全部、やめて。しばらく。」
 
化粧品はもちろん、コラーゲンやサプリメントもアレルギーの原因となりうるのでやめるように指導され、髪の毛が顔にかからないように結ぶことも提案されました。
(もちろん、先生はいつもきちんと巻き髪を結わいていましたよ)
 
美しくて優しい先生はメルアドを教えてくれて、いつでも相談してね、とおっしゃってくれました。
 
数回のカウンセリングの後に、血液検査をし、足りない栄養素をクリニック指定のサプリメントで処方され、併設の店舗で先生のお薦めスキンケア製品と共に購入しました。
 
「タンパク質を増やす食事をするように」という指導のもと、食事の際に肉や魚を増やすのはもちろん、毎日の朝食に卵を1個加えました。
「亜鉛などのミネラルも不足しているので、貝を食べるように」ともアドバイスされましたが、貝はなかなか、実行できませんでしたね。
 
そして加えて、毎週、肝機能強化の注射です。
 
因みにこちらのクリニックは、看護師さん達もとても優しくて、本当に注射が嫌いな私でしたが、皆さんに励まされて、なんとか続けていました。
 
サプリメントも数種類が一日分ずつ個包されたものを、きちんと飲みました。
 
診察の時は毎回の様に肌の写真を撮り、比べてみるのですが、赤ら顔は一向に改善していません。
 
その度に先生は、新たな秘密兵器を導入します。
 
「抗炎症作用がある温泉水のスプレーなの、携帯してね。」
 
「何か悩みがあるんでしょ?
ストレスで眠れてないのよ。
今度、安眠CD発売するから、待っててね。」
 
また、レーザーも薦められ、一回受けました。
 
先生曰く、
「照射したそばから、みるみる肌が白くなっていくわ」
 
(それって、一瞬毛細血管の血流が止まっただけですよね、全然赤みとれてないし・・・・・・。)
 
しまいには、
 
「期間限定の赤いリップグロスが出たの、すごく可愛いのよ。
塗ってあげるわ」
 
先生に赤い口紅を塗られて、お金を払って帰るとき、
「私、何やってんだろう…」と情けなくなり、こちらのクリニックはその後行くことはありませんでした。
 
 
半年以上通い、注射を打ち続け、サプリメントを飲み続け、レーザーも打ちましたが、けっきょく赤ら顔には役に立つアプローチではありませんでした。
 
「一体どうしたらいいのかしら、どこにいけばいいのかしら」と、医者による治療を一旦ストップし、ネットで調べた酒さ、赤ら顔に効果がある、と謳っている化粧品を買い漁り、個人輸入でインド製の、青いプラセンタの薬まで買いました、がまったく変化無しでした。
 
毎晩ネットサーフィン。
 
「酒さ」と検索しているので、検索ワードから関連する広告が自動的に掲載されるのですが、そんな中、あるクリニックの広告が目に留まりました。
 
(ポップアップ広告って胡散臭いわぁ。)
 
と思いつつ、導かれるままにクリック。
なかなかまともそうな印象を受けたので、予約を取ることにしました。
 
以前ほど自由になるお金があるわけではないので、高額な治療費は払えません。
自分の中で限度額を決めて、それでダメなら諦めよう!
そう決めてのクリニック予約でした。
 
そして期待と諦めの半分半分の気持ちで、目黒にあるクリニックのドアを開けました。
 
2014年の秋の小さな決意でした。

Writer Profile

浅川あづさ
浅川あづさAzusa Asakawa

海外不動産投資セミナー講師/モデル

バブルが弾けて間もない大学卒業後、すぐに結婚。二女の母となり幸せな日々を送っていたが・・・・・・原因不明の治療法無しの皮膚疾患に苛まれ、約8年間苦しむ。そして肌治療のトライ&エラーを繰り返し、現在は主婦業の傍ら、カメラの前に立つモデルの仕事をするまでに肌が改善。その全貌を余すところなくお伝えするルポルタージュが、この「毛穴の奥に見えたもの」です。

赤ら顔で、‘酒さ‘や‘脂漏性皮膚炎‘と診断されましたが、綺麗になりましたよ。

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