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毛穴の奥に見えたもの Vol.8

毛穴の奥に見えたもの Vol.8 Try.8
「毛穴の中に
私が見えてきた…」

2016.06.05

前回の続きです。
 
2015年9月。
 
大学生の娘が、インターン先で教えてもらった漢方医がいるという病院は、
自宅から歩いて20分のところにある、住宅街の中に佇む、小さな総合病院でした。
 
親子二代で営まれ、地元で親しまれているその病院では、
二代目である息子医師が、漢方を取り入れて治療するのがウリのようでした。
 
診察の際、「これまでに "酒さ"とも"脂漏性皮膚炎" とも診断されていて、いずれにせよ困ってる」、と伝えました。
 
「あー、酒さと脂漏性皮膚炎って、併発することが多いんだよね?。」
 
とアッサリ。
 
(まじか、最悪やん)
 
と、軽く動揺する私を無視して、診察開始です。
 
先生は、脈をとったり、舌を見たり、お腹の触診もしたかしら?
 
ともかく一通りの診察をして、顔を上げて私に向かって一言。
 
「あなたね、病気でもなんでも無い。
顔も赤くないし、体も悪いとこ無いから」
 
(エェッ!? そんなことない!)
 
「顔は真っ赤っかだし、どこか悪いはずです!」
 
一生懸命訴える私に、冗談半分でしょうか、先生は諭しました。
 
「あのねぇ、美人は小さな事でも気になるだろうが、
普通の人はそれぐらい気にしないものだよ」
 
と、取り合ってもくれません。

それでも、何でもいいから薬出して、と言う私に、、
しぶしぶ、漢方薬の名前を言ってくれましたが、
それは、私がネット通販で買っていたものと同じ物でしたので、
"違うのを処方してほしい"、というと、更にしぶしぶ、
 
「一般的な体質改善ということなら…これかなぁ…。」
 
と、別の漢方薬の処方箋を書いてくれました。
 
薬といっても、先生が処方して、それに沿って調合した物を煎じて飲む、
などということは決してなく、入浴剤のメーカーの、
一般に市販されている顆粒の飲み薬でした。
 
一応、その漢方薬は、食前にお湯に溶かして飲む、
ということをマメに続けました。
 
薬が終わる頃には、また、医師の診察を受けに行くのですが、
元々病人として認定されていないせいか、毎回世間話しか話す事がなく、
 
「美人はニキビ一つでも気になるものでしょう?!」
 
的な小言をチョイチョイ言われるので、だんだん気持ちが萎えてくるし、
そもそも、赤くもない顔の赤みが治るはずもなく…。
 
自分は異常に気にしていることでも、他人はまったく気づかない、
という事はよくありますよね。
 
わたしの場合もそうだったんでしょうか?
顔が赤い、と大騒ぎする私を見て、娘は内心では
「別に気にするほどじゃないよ」
と思いつつ、そんなことを指摘したら
私が烈火のごとく反論するのがわかっていたんですね。
 
日々、病院巡りをする私に、
「もう、充分綺麗だよ。気にすること無いよ。」
と、やんわり言う主人も、ただ呆れて、もはや、憐れんでいたのかもしれません。
 
それまでの過酷な治療が効を奏したのかもしれないし、
気にしなくていいかも、と心が軽くなったせいかもわかりませんが、
この頃から気持ちが別の所に行くようになったのです。
 
 
つまりそれまでは、どうせ私は肌が汚いから…と、
病気を理由に悲劇のヒロインのような気がしていたんだと思います。
 
(私はこんなに苦しんでいるのに…誰も治してくれない。)
 
子供の教育とか、離れていった家族の事だとか、
自分がもっと積極的に関われたであろう物事もすべて、
 
(私はこんなに努力しているのに…誰もわかってくれない。)
 
と、心の中では自分以外に頼りきって、
他人への恨みつらみだけしかなかったんだわ、と気づいたんです。
 
悩みの拠り所である、病気の症状が解決したら、他にぶつける所が無くなって、
初めて気づくだなんで、皮肉なものですね。
 
ずーと、(自分も含めて)誰かの、何かのせいにしたかったんだわ、
と思ったら、びっくりしました。
 
自分が悪いからこんな目に会うんだわ、と自分を呪い、
自身を反省するふりをして、どこかで別の要因を探していて、
責任転換をしていたんです。
 

それ以降、ものごとの捉え方が確実に変化しました。
 

上手くいえないのですが、一つ一つの私にとっての厄介な出来事達は、
バラバラの事象ではなくて、深いところで関連しているのではないか、
と思うようになったのです。。
 
実は、私はこの原因不明の皮膚疾患は、
根元的にはストレスが原因だと思っていました。
具体的には、次女が問題ばかり起こすことで、
ストレスが消えないからだわ、と考えていた節があるのです。
 
(子育てが上手くできなかった)
と反省する一方で、
(あの子のせいで、私の人生の70%のロスだわ)
と常々思っていたのですが、この矛盾にやっと気がついたのです!
 
自分の本心に向き合う事を避けてきた、そんな自分に突然気づいた、
遅すぎる45歳の秋でした。
 
わたしが綺麗と思うもの。
 
PH_keana_v08_1-20160603.jpg
玉藻公園。
高松城、別名玉藻城は、元々は海に面しており、舟で入城したそうです。素敵。

Writer Profile

浅川あづさ
浅川あづさAzusa Asakawa

海外不動産投資セミナー講師/モデル

バブルが弾けて間もない大学卒業後、すぐに結婚。二女の母となり幸せな日々を送っていたが・・・・・・原因不明の治療法無しの皮膚疾患に苛まれ、約8年間苦しむ。そして肌治療のトライ&エラーを繰り返し、現在は主婦業の傍ら、カメラの前に立つモデルの仕事をするまでに肌が改善。その全貌を余すところなくお伝えするルポルタージュが、この「毛穴の奥に見えたもの」です。

赤ら顔で、‘酒さ‘や‘脂漏性皮膚炎‘と診断されましたが、綺麗になりましたよ。

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