恋に効く、仏教 Vol.5
第五話
ご縁さがしやめます
2015.11.18
私ども臨済宗妙心寺派のお坊さんたちがしているお寺婚活「吉縁会」ですが、来年の2月から名古屋、岐阜でも開催することになりました。これからも多くの方のご縁結びのお手伝いが出来ればと考えております。
私は今、吉縁会の事務を預からせてもらっていて、
電話・メールでのお問い合わせや、会員からの相談、会への参加応募の処理、抽選、ホームページ管理などをさせていただいております。
まぁホント様々なお問い合わせがきて・・・・・・
面白いやら、大変やら。
お問い合わせの時に、
会員の皆さんにお願いしていることは、
・お知らせの案内を読まずに安易にお問い合わせしない事
・お問い合わせのメールには名前を書くこと
・社会人として常識ある文章で書くこと
これをお願いしてあります。
何とも小学生に言うような内容ですが、
正直これをクリアして問合せしてくる方は、非常に少ないのが現実です。
いつの間には、私たちはサービスの提供側と受ける側という区別を常に持ち、相手に対応する場面が増えてきたように感じます。
最近になってお客様は神様、という言葉への違和感が叫ばれるようになってきましたが、吉縁会にも、私という僧侶が問合せ先の向こうにいるという事について深く考えず、
なんとなくメールをしてくる方が多くいます。
電話なら声が聞こえ、雰囲気が伝わるので違うのでしょうが、
メールは送る側が相手の存在を心に留めなければ、画面操作の問題だけで、人を感じることはありません。
ですから、普段の一つ一つの行いの中で、相手を思いやる生き方をしている方か、自分本位に生きている方か、如実に表れるのがメールである気もします。
あまりにも稚拙な内容のお問い合わせの場合、私はやり直しをお願いしています。
そのまま受けてもいいのですが、この機会に気づくことによって、その先の進む道が変わるであろうと願って、そうさせてもらっています。
さてさて、
そんな様々なメールでのお問い合わせがある中で、
「会をやめます。」
という退会の依頼のメールもたまに来ます。
結婚が決まった、お付き合いした方ができたという嬉しいご報告の場合が多いのですが、
最近多いのが、
「ご縁さがしをやめようと思います。」
という退会のメールです。
この様なメールをもらうと切ない気持ちになります。
「お力になれなかったなぁ」と思うと同時に、
「このままやめさせていいのだろうか?」
とも思います。
もちろん退会は自由ですから、本人の意思ですので尊重しますが、
このような場合は、退会の方法を送る返信メールに、以下のような文章を添えていますので今回はそれをご紹介したいと思います。
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今回ご縁さがしをやめるという事で退会されるとのことですが、
吉縁会をおやめになる事自体はいいとは思いますが、
是非この機会にご縁について深くお考えください。
婚活の場などに出て、ご縁を探すという事が縁を結ぶすべてではありません。
縁とは、どこか遠くにあるものではなく、すでにあなたの周りに無数に広がっているものです。
あなたの歩くアスファルトだって、
お住まいの家だって多くの方のかかわりの中で出来ています。
会社だって電車だって、もちろん食べ物も洋服も。
私たちの生活の多くの物は、多くの方の関わりや、それを作る際の真心なしでは存在していません。
道を歩くことですら、
敷き詰められた真心の上を歩んでいるようなものです。
私たちはそれに気づいていないのです。
ただ実際は、そのような優しい素晴らしいご縁の中で日々暮らしています。
男女のご縁を探す前に、
あなたをあなたとしている素晴らしいご縁を探し気づきましょう。
そこに気づき、感謝し、真心を感じる生き方をしていく事が、
あなた自身を輝かせ、
魅力のある人間とし、
結果的に、男女の縁も結ばれていくのだと信じています。
通勤の一歩一歩にすら真心を感じ、真心を踏みしめて歩むことができる生き方は素晴らしいことだと思います。
男女のご縁を結ぶには、良い生き方との縁を結ぶことがその第一歩だと思います。
ご縁は溢れんばかり私たちを包んでいます。
どうぞこれからも、ご縁をさがし、ご縁に気づき、進まれることを願っております。
吉縁会 木宮行志拝』