恋に効く、仏教 Vol.14
第十四話
熊本大地震
2016.04.20
この度の熊本大地震において被災された方々、大切な方を亡くされた方々、
お見舞いとお悔やみを謹んで申しあげます。
またしても大きな地震が起きてしまいました。
自然の中で暮らしている以上、
私たちはいつもこの様な危険と隣り合わせであるとはいえ、
しょうがない
では片付かない思いが強く残ります。
地震で亡くなる方も、普段に亡くなっている方も同じ死ではありますが、
地震で亡くなる方は、まったく本人に過失もなく、
一瞬にして命を失うこともあり、強い思いを皆感じています。
私自身、地震が起きると言われている静岡県に在住はしているものの、
実際に被災してみないとわからない思いもあると思います。
被災された方と同じ思いまでは持てないかもしれませんが、
寄り添おうとする思いだけは持ちながら、
私に出来ることをしていきたいと思っております。
今回は恋に効くとかは少し置いて
この様な際に私たちができることを考えたいと思います。
実際のボランティアや、復興支援、募金活動などは、
もちろん大切なことでそれぞれの立場で
可能な限り行っていただきたいと思いますが、
ここでは、自分の心で出来ることを考えたいと思います。
一つは、自然というものへの思いを見つめ直すことではないでしょうか?
私たちは、昔の生活比べ、科学的で、
多くのことが解明されている中で暮らしています。
明日の天気も知っていますし
一週間後の天気までわかる
太陽が明日の朝昇る時間も知っていますし
日食などで欠けることも知っています
自然もいつの間にかコントロールできるかのような錯覚に陥ってしまいます。
昔の方々は、不便ではあったでしょうが、
見えないこと
わからないこと
が多かった分、それに対して
畏れ、敬いの気持ちを
常に持っていました。
朝、太陽が昇るだけで感謝感謝だったのです。
様々なことが分かるようになればなるほど
畏れや、敬いがなくなり
わがままな生き方になってきています。
大地震が来て
はじめて自然への畏れ、敬いを感じていたのでは遅いのかもしれません。
普段の生活も
非常に不安定でありがたい中で成り立っていることを
今一度見つけてはいかがでしょう。
自然は怖さだけではありません。
普段あまり気にも留めませんが
太陽は毎日昇ってくれて、作物を育ててくれる
海は怖さもあるが、恵みももたらしてくれる
豪雨は怖いですが、雨は潤いを与えてくれる
杉だって花粉ばかりに目が行きますが、
空気を浄化してくれ、木材として使わせていただける。
いつどうなるかわからない不安定な中ですが、
大きな恵みをもたらしてくれています。
自然=脅威
でもなければ
自然=恵み
だけでもないのです。
長い歴史で見れば、大きな地震や噴火が、皆さんが普段歩く大地を形成し、
作物の養分となっているのです。
コンクリートで固め、これからこのまま変わらないという
錯覚の中で暮らすのではなく、
不安定な中で生かされているありがたさに
目覚めていただきたいと思います。
この様な災害があると
不安定な面ばかりが見えてしまいますが、
不安定だからこそ、
生かされている
ありがたい
と言う思いが大事なのです。
友人、恋人、家族
それらも不安定であるのです。
常に移ろっていくのです。
別れる怖さを感じ過ぎて
一緒にいるうれしさに気づかなければしょうがありません。
※これについては、今まさに被災されている方は、
今の時点で自然の恵みに気付いてほしいと言うのは無理だと思います。
もう一つは、
命を失った方々の前で、私たちはまだ生きています。
いただいた命
生かされている命
これを大切にしっかりと使わねばなりません。
明日でいいや明後日でいいや
なんて言っていられないのです。
目の前の一瞬は、もう二度とない一瞬です。
今日は二度と来ません。
一日一日命を使い切るように
与えられた場所で
与えられた立場で
与えられたことを
大切に懸命に行っていく。
せっかく生きているのです。
自然の恵みにせっかく生かされているのです。
先祖たちが命をつないできてくれたのです。
そんな命をどう生きていくのか?
それを深く考え、
生き方を見つめ直すこと。
命を失った方々の前で、
生きている私たちができる最大のことかもしれません。
最後に、
どうぞ祈りましょう。
祈りは、見えませんし、形もありません。
でも、祈りましょう。
それで、具体的に変わることがないかもしれない。
でも、祈りましょう。
心静かに被災された方々の悲しみを
自分の悲しみとして
一緒に悲しみ
どうぞ祈りましょう。
目をつぶり、手を合わせ
一緒に祈りましょう。
追記
宗派問わず各お寺では募金活動を始めています。
私のお寺でも始めております。
お寺で募金しなくても構いませんが、お近くにお寺があれば訪ねてみてください。
募金、ボランティアなどなど
様々な立場で、自分のやれることを少しずつでもやっていきましょう。