恋に効く、仏教 Vol.22
第二十ニ話
ウサギとカメ
=カメは悪者!?=
2016.11.02
どの本か忘れましたが、昔読んだ本に昔話について面白い事が書いてあったのを覚えています。ウサギとカメのお話です。
皆さんご存知のウサギとカメのお話ですが、
実は世界中に同じ話が広まっているのですが、少しずつ違うのをご存知でしたか?
日本の話は、
ウサギとカメが競争をして
ウサギが途中で居眠りしている間に
カメが追い抜いて勝つというお話で、
油断大敵や、努力の積み重ねなどの教えとしても伝わっています。
頑張れば、カメみたいに足が遅くても勝てる。
こんな話を子供のころから聞かされてきました。
国は忘れましたが、中東の国のお話では
カメにはそっくりの双子の弟がいたので、
カメは、スタートの前に、ゴール近くに弟を立たせておいたそうです。
ウサギは勢いよく走りだしますが、ゴールが近づいたとき
後ろにいたはずのカメがゴールテープを先に切っていました。
ゴール近くにいた弟が兄になりすましてゴールしてウサギに勝ったというお話です。
兄弟愛や協力の大切さを教えているのでしょうか?
すごい話です。
ただ、もっと凄いのが
カメルーン。
親戚一同全員出てきます。
カメだらけのお話です。
カメは親戚一同をゴールまで等間隔に待機させておきました。
ウサギは勢いよく飛び出して、カメを引き離したと思いましたが、
後ろを振り返ると、すぐ後ろにカメがいる。
これはいかんと、さらに速く走ります。
これで引き離しただろうと後ろを振り返ると
またカメがいる。
どんなに走ってもずっとカメがいるのです。
親戚一同カメが待機してなりすましているのです。
ウサギは、まったく休みなしで駆け抜けたため、疲れて心臓麻痺で死んでしまったそうです。
血縁の力、協力を教えているのでしょうか?
まったくすごい話です。
国が違えばだいぶ話も違うのです。
さて、お釈迦さまの国、インドのお話はどうでしょう?
これ実は、
日本と全く同じ話なのです。
ウサギとカメが競争して、
途中でウサギが休憩している間にカメが追い抜いて勝つ。
全く同じ話です。
でも、インドではカメは悪者です。
コツコツ頑張ったカメがなぜ悪者なのでしょう?
インドの人たちは言うのです。
カメは、ゴールに向かう途中で
横になっているウサギの姿を見ただろう。
なぜ起こしてあげないのだ。
寝ているだけではなく、もしかしたら体調を崩しているのかもしれない。
そんなウサギを横目に、しめしめと
ゴールに向かうとは、
カメはなんてひどい奴だ。
と。
ウサギさん大丈夫?
起きないと抜かれますよ。
体調悪いのですか?
と声をかける思いがないカメは悪い奴だと。
同じ話も、全く違う解釈があるものです。
日本では、カメが良い者であると聞くと
インドの人は、
日本人は、そこまでして勝ちたいのか?
先にゴールするよりも大事なものはないのか?
と言われたと、読んだ本には書いてありました。
お釈迦様の誕生したインドらしい解釈です。
どちらが正解とも言いませんが、
私は日本の考え方を持つ一方で、インドのような見方も必要だと思うのです。
私たち日本人は目標を立て
そこに向かって邁進し、
そこに到達したときに花開く。
という価値観の中で暮らしています。
だけども、ゴールに着くかはわかりませんし、まして勝てるとは限りません。
受験から、経済活動から
あるいみ常に競い合いの中で暮らしていますが、
競い合いの結果だけに目が行き、
競っているまさにこの瞬間の生きざまが適当になっていないでしょうか?
良い大学に行くために、中学校高校の時代があるのではなく、
目の前の一日の積み重ねが、いつか大学に繋がるのです。
中学校高校時代を、確証のない未来の為に使っていては、目の前の大切な時間をいい加減な時間としてしまいます。
もちろん努力は必要で、
競う事により力も出るでしょう。
勝つ喜びは大きなものがあります。
ただ、それだけではいけないと思うのです。
日本のウサギとカメの話だけに固執した生き方でもいけませんし、
もちろんインドのお話に固執した生き方でもいけません。
状況にもよりますが、
心の隅に、インドのお話の考え方を持っていることが大切です。
それが、結果というゴールに到達したときに、ただ早いだけじゃない、ただ勝っただけじゃない。
素晴らしいものに到達するのです。
そんな日々を送ることが
あなたの一日を輝かせていき魅力的になります。
まだ見ぬ先の結果だけに目が行き、
結果に執着し
目の前の事をおろそかにし
過ごしているようでは
今日はなんとなく流れていきますし
今日のあなたは輝かないのかも知れません。
素晴らしい未来の為に今日があるのではなく、
素晴らしい今日の積み重ねが未来につながるのです。