Vol.05本道佳子マネージャー日記 その人に色を入れる
2015.01.22
前回のvol.4で、本道さんがつくるお料理は、お肉やお魚、そして、卵も乳製品も使わないヴィーガンというスタイルだとお話しました。ベジタリアンやヴィーガンの料理は、日本よりも海外で見かける機会が多いのですが、本道さんがつくるヴィーガン料理は、普通に想像されるそれとは一味も二味も違います。
今回は、その見た目や色についてお話しします。
本道さんのお料理は、何よりもまず見た目が華やか。
野菜に対して丁寧で繊細なのですが、盛り付けは大胆で斬新。まるでアートのようです。
「野菜というパーツを組み合わせて、1つの芸術作品をつくるイメージ」
本道さん自身がそう言うとおり、本道さんのお料理はいつだって、見た瞬間からワクワクしてきます。
さらに特筆すべきは、その色。
本道さんは 「色」 をとても大切にしていて、野菜が本来持っている色の美しさを最大限に引き出すのです。
赤や緑、黄色にオレンジ、紫やピンク、白・黒・茶色、その他数々の色たちを見事に組み合わせます。
以前本道さんは、とある方から
「食べてくれる人にどんな色を入れたいか。それを意識して料理をつくるといいですよ。」
そうアドバイスをいただいたことがあるそうです。
例えば、色々と悩んでいる人には頭がクリアになる「白」、忙しすぎて安らぎを求めている人には「緑」、新たな道で力を発揮しようとしている人には「赤」、などというように。
もちろんお客様一人ひとりにそう聞いたりはしませんよ。本道さんがその人を見た瞬間のインスピレーションです。
もっとも、この『色』の話を聞いたのはもう数年前のこと。今の本道さんは、感覚がさらに研ぎ澄まされているようで、そんなことを意識せずとも、自然とその人にピッタリな料理を生み出してしまうのですが。
でも私は「その人に何色を入れたいか」って、とっても素敵な視点だなぁと思うのです。
「この人は今こんな健康状態だから、こういう栄養素が必要で、そのためには何と何の野菜を最低何グラム摂るとよい。」
こういう考えも、もちろん大切だとは思うのですが、その一瞬の感覚に従って生み出されるものって、頭で考えてつくられるものを一つも二つも越えたところから、その人の中へ、ストンと入っていくような気がするのです。
今日のあの人はどんな色?
今の自分はどんな色?
こんなことを思いながらキッチンに立つと、その空間までもが素敵に彩られている気がします。
キッチンでできる楽しい色遊び。よろしければ皆さんも試してみてくださいね。
写真は、本道さんがハワイでつくった料理の一部。見ているだけで胸がワクワクしてきます。