Vol.23本道佳子マネージャー日記
素敵な褒め言葉
2015.06.11
ちょうど1週間前、本道さんがテレビ出演しました。それは、とある民放局で毎週木曜日の22時54分から23時まで放送される、約5分間の番組。
毎回ひとりの「ライフスタイリスト」=“自分のスタイルを確立し、人生を楽しんでいる人” を取り上げて、一見何気ない、でも一味違ったスタイルやこだわりを紹介するという番組です。
その6月4日(木)の回で、本道さんが取り上げられました。
内容をもう少し簡潔に言うと、その人が仕事以外で自分らしく過ごしている時間を紹介する、というもの。
常に動き回っている本道さんは、改めて『自分らしく過ごしている時間』と聞かれて少し考え込んでいましたが、「車を運転している時間が好き」ということから、「ドライブ」に決定しました。
本道さんは、野菜を買いに行ったり、ケータリングに行くときなどによく車を使うのですが、運転中はまさに『空想タイム』なのだとか。
「今度のお料理会では何をつくろうか」とか、「次のイベントでは何を話そうか」とか。皆さんの笑顔を思い浮かべながらそんなことを考えていると、次々とアイディアが浮かんでくるのだそうです。
番組としては、「本道さんがドライブしながら、こだわりの野菜を買いに行くことがあるのなら、その場面を撮影したい」とのこと。
というわけで、行き先は、本道さんが湯島食堂の時からお世話になっている長野県・真下農園さんと、群馬県の「スーパーまるおか」さんに決定。
本道さんは、東京から長野、群馬を回ってまた東京へ戻るぐらいの距離なら、1日で軽々と走ってしまうのです。
ただ、番組の放送時間は5分。CMの時間を考えると、実質の放送時間は2分ほど。
その2分のために長野と群馬へ行くことが撮影する側として大変であれば、どちらか片方にしても構わない旨を打ち合わせで伝えたところ、番組のプロデューサーさんはこう言いました。
「番組が短いからといって、適当に撮るつもりはまったくないんです。むしろ、2分の中にその人の魅力をぎゅっと詰め込みたいので、本道さんが行きたいところへ一緒に行きますよ。」
この言葉を聞いたとき、私はとても嬉しくなりました。
時間が長いとか短いとか関係なく、自分たちが「この人だ」と思って選んだライフスタイリストの魅力を余すことなく伝えることを、何より大切にしているのだなぁと。
そして迎えた撮影当日。
撮影の内容上、雨だと延期する可能性もあったのですが、見事に快晴。
本道さんが乗る車と、大きなロケ車の2台で東京を出発しました。
目的地へと向かいながら、本道さんが運転する車を横から俯瞰で撮ったり、助手席や後部座席から、運転する本道さんを間近で撮ったり。常に本道さんの顔を正面から撮れるように、車内に小型カメラも取り付けられていました。
何度も何度もサービスエリアに停まって撮影パターンを変えながら、色々な角度から映される本道さん。
カメラの装備があまりにもしっかりしていることに驚いた本道さんが、プロデューサーさんにそれを伝えると。
「番組が短い分、その中で綺麗な絵を見てもらいたいので、良いカメラを使っているんですよ。」とのこと。
さらっと答えたプロデューサーさんの言葉に、この番組をいかに大切にしているかが伝わってきて、またも嬉しくなりました。
素晴らしいスタッフさんの連携により、なんとか日が落ちる前に必要な撮影は終え、1日がかりの撮影は終了。
放送の数日前に、プロデューサーさんがメールをくださり、「編集が終わって完成したこと」、「とても短いけれど、よく撮れていること」を報告してくださいました。
そして、こう付け加えてあったのです。
「ただ残念なのは、本道さんのお料理がもっと見たくなってしまうことです。」
なんと素敵な言葉だろうと思いました。
たしかに、今回はドライブが中心なので、本道さんの料理は1品が数秒映る程度。
本道さんという人の魅力を、2分間という枠へ凝縮していく中で出てきた気持ちなのだと思うと、本当に嬉しくて。
しかも、「美しい絵を撮る」ということを意識しているプロデューサーさんが、もっと本道さんの料理を「見たい」と思ったということは、最高の褒め言葉であるような気がしたのです。
実際に放送された番組を観たところ、あの時こんなにもこだわって撮影していたんだ!という驚きとともに、プロが織りなす仕事の素晴らしさを痛感。
ひょっとしたら、番組づくりも料理もどこか似ているのかもしれません。
放送時間にしたら数分のテレビ番組、食べてしまえば一瞬でなくなるお料理。人や素材の魅力を凝縮し、その瞬間的な感動と心地よい余韻を届けるために、研ぎ澄ました感性でつくられる。
こんなふうに番組をつくりあげていくスタッフの方々に出会えて良かったと心から思います。
昨今、テレビの番組づくりについては色々と言われたりもしていますが、番組ひとつひとつがこんなに丁寧に大切につくられていると知ることができたのは、とても貴重な経験でした。
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