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Vol.28本道佳子マネージャー日記

Vol.28本道佳子マネージャー日記 農家と食卓をむすぶお料理教室

2015.08.21

この7月から、新たなお料理教室を始めました。
 
遡ると今年の頭ぐらいから、本道さんと「新しいお料理教室か何かを始めたい」と話をしていたのです。
 
『普通につくって食べるだけではない「なにか」があるといいですね』
 
そんなことを言いながら、あれやこれやと話していると、アイデアはどんどん湧いてくるのですが、いまいちどれもしっくりとこない。
どれだけのアイデアが泡となって消えていったかわかりません。
 
そうこうしながら慌しく時間が過ぎていった6月のある日。
お料理教室について考えをめぐらせていた本道さんから、こんな言葉が出てきました。
 
「先へ先へと繋がることがしたいなぁ」
「農家さんの素晴らしさをもっと知って欲しいなぁ」
 
これが、どういう事かというとですね。
 
お料理教室で過ごした時間を「料理をつくって食べた」、「楽しかった、おいしかった」で終わらせるのではなく、そこから一歩も二歩も先へと繋がっていくものにしたい。
 
美味しい料理は、素晴らしい素材があってこそ。すなわち、その素材を生み出す農家さんがいてくれるからこそ。
愛情を込めて野菜を育てる全国の農家さんと、その美味しい野菜たちのことを、もっともっと皆さんに知って欲しい。
 
こういう気持ちが込められた言葉でした。
 
 
それらが実現できるやり方は・・・・・・、と考えていたときに、パッと出てきたのです。
 
「お料理教室で使った野菜が、後日、参加してくれた人のおうちにも届いたらおもしろいかも !?」
 
おお、それはありそうでなさそうで新しい!
 
「もしそれをやるなら、毎回違う農家さんにお願いできますよ。私、全国の素敵な農家さんをたくさん知っていますから。」
 
本道さんがこう言ったときに、これだ!!と、ピーンときました。
 
だってですよ。
 
●お料理教室で使ったのと同じ野菜が届いたら、料理の再現が可能。そこから派生したオリジナル創作料理もできる。
 
個人的には、お料理教室に参加したときは「家でもつくろう!」と張り切るのですが、いざやろうとすると同じ材料をそろえるのって案外大変だなぁ、って思うことがあったのです。
でも、おうちに採れたての野菜がドドーンと届いたら、それだけでやる気が出てくるなぁって。
 
●旬の野菜を味わうことができる。各地域の野菜の特徴を知ることもできる。
 
日本狭しといえど、気候も違えば土質も違う。だから、季節によって採れる野菜は変わるし、場所によって得意とする野菜が異なります。
知っているようでまだまだ知らない日本の風土を、野菜という視点から感じることができるって、とても素敵だなぁと思ったのです。
 
●普段知る機会のない全国の農家さんをもっと知ってもらうこともできる。
 
小さく経営しながらも、美味しい野菜をつくっている農家さんはたくさんいます。そんな全国の農家さんをご紹介できたら農家の活性化にもなる。
さらに、皆さんが気に入った野菜を自由に各農家さんへ注文してもらう、というところまで繋げていけたら、そんなに嬉しいことはありません。
 
これぞまさしく、本道さんの言う「先へ繋げながら」、「農家さんの素晴らしさを知ってもらう」、新しい形のお料理教室だなぁと思ったのです。
 
 
最後に本道さんはこう言いました。
「どうせなら、お料理教室の最初に、届いたばかりの野菜箱を開封して、皆で『わぁ?!』っていうところからスタートしましょうか。」
 
これもまた素晴らしいアイデアだと思いました。
 
本道さんの料理は、「メニューがない」、「野菜を見たインスピレーションで創りあげる」とは言いながら、それを見る機会ってなかなかないじゃないですか。
 
でも、どんな野菜が入っているかはその日しだい。本道さんも事前には知らない。
 
野菜を見たときのインスピレーションで、本道さんがどんなふうにメニューを組み立てていくのか。
どんな切り方で、どんな調理をして、どう味付けをして、どんなふうに盛り付けるのか。
 
想いを込めてつくるとは、どういうことなのか。
 
それを間近で見て感じてもらえるなんて素晴らしい! そう思ったわけです。
そして、これは、野菜を見て触れることでメニューがどんどん湧いてくる本道さんだからできる形態でもあります。
 
 
こうして、お料理教室をひとつの点で終わらせることなく、「野菜をつくる人」?「料理をつくる人」?「食べる人」をひとつの線でつなぐお料理教室ができあがりました。
 
ちなみに、当初は「農家と食卓をつなぐお料理教室」という名前のつもりでしたが、ここへ込めた想いなどを踏まえると「むすぶ」という言葉のほうがしっくりくる気がして、発表直前に「農家と食卓をむすぶお料理教室」へと変えました。
 
 
おかげさまで、今のところ大好評を博しています。
参加してくだった皆様が、料理教室だけでなく、その後届いた野菜の美味しさや、おうちでつくった素敵なお料理を報告してくださるのが、これまた嬉しく。
 
日本中に、目に見えない、でもとても強い線が確実にむすばれていっていると、確信する日々なのであります。
 
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ズッキーニのパスタ トマトソース

 
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長野県・真下農園さんの甘いトマト

Writer Profile

天野麻里江
天野麻里江Marie Amano

本道佳子さんマネージャー
大学卒業後、システムエンジニアとしてIT企業に入社。法務部で契約書作成にも携わる。2011年3月、本道さんと出会って価値観が大きく変わる。2013年夏に退社。本道さんマネージャーと国境なき料理団事務局を担当し、皆様に本道さんの魅力を届けるべく活動中。
小さい頃から食べることが大好きで「おいしい食べ物は人を笑顔にする」と信じている。

本道佳子(ほんどう・よしこ)
NPO法人・国境なき料理団 代表理事。高校卒業後、単身で渡ったアメリカで世界中の料理に触れる。帰国後は野菜料理のシェフとなり、『食で世界が平和になったら』の想いを胸に、病院とのコラボ「最後の晩餐」など様々な活動を続ける。その人柄と大胆でカラフルな野菜料理は評判となり、2014年「湯島食堂」閉店後も、世界の各地で愛あるご飯をお届け中。

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