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Vol.30本道佳子マネージャー日記

Vol.30本道佳子マネージャー日記 夢のディナー

2015.09.17

9/6(日)に、東京ドームホテルで 『夢のディナー in Tokyo』 というイベントが開催されました。
 
これがどんなものかと言いますと。
 
「奇跡のりんご」を作った木村秋則さんという方がいらっしゃいます。
 
誰からも「絶対に不可能」と言われた 無農薬りんごの栽培。
その絶対不可能を現実のものにした、まさに奇跡の生産者さんです。
 
そんな木村さんのりんごをはじめ、全国で自然栽培にてつくられたお野菜と、日本を代表する名だたるシェフが終結し、一人一品ずつ料理をつくってフルコースを完成させる、まさに夢のディナー。
 
今まで日本各地で開催されてきましたが、満を持して、初めての東京開催となりました。
 
今回名を連ねたのは、「世界のミクニ」こと三國シェフをはじめとする9名のシェフ。
そのうちのひとりが本道さんでした。
 
ことの始まりは、約4カ月前。
GWの真っ只中である5月2日に、青森にいる本道さんからメッセージが入ってきました。
 
「9月6日、すごい仕事が入りそうですー。詳しくはまた今度―。」
 
相変わらずのざっくりとしたお知らせに、何が起こるのかはよくわかりませんでしたが、しばらくしてその全貌を知り、とにかく驚いたことをよく覚えています。
 
とある方のご縁で青森に行った際、青森・弘前にある「レストラン山崎」の山シェフと知り合い、このお話をいただいたのでした。
 
しかも、トップバッター。
後ろに控える大御所の皆様の先陣をきって、前菜の前に出すアミューズをつくることになったのです。
 
 
ここでは、当日本道さんの口から語られなかったメニューについてお伝えできればと。
 
すでにお気付きの方もいるかもしれませんが、今回のトップ画像が、本道さんのメニューです。
 
タイトルは、「根・実・光のもの3種の玉ねぎソースかけ」
 
根がごぼう、実はナス、光はお米。
黒ごまソースをしいたお皿に、なす、ごぼう、お米を重ね、その上におくらを。横に添えた玉ねぎソースをかけて一口で食べていただく小さなアミューズです。
 
なすは素揚げをして味を付け、ゴボウは火を入れた後にバルサミコ酢を染み込ませ。
お米は、タイのお花で煮出した青色のお茶で炊きました。
玉ねぎは水を一切加えず、玉ねぎが持つ甘味を最大限に引き出し、塩だけで味を付けてソースに。
 
・・・・・これを口に入れたときの一体感たるや。
味も食感も異なるものたちが、口の中で見事に一つとなって身体の中に入っていくというスペシャルな体験ができる一皿でした。
 
 
この料理には、大切な意味が込められておりまして。
 
実はこれ、「三種の神器」を表しているのです。
 
三種の神器である鏡、剣、玉。
通常、玉は勾玉(まがたま)であることが多いのですが、本道さんはあえて「玉=地球」ととらえました。
 
輪切りにしたナスが鏡、先を鋭く切ったごぼうが剣、ブルーに染めたライスが玉。
そして、ライスに添えられた星型のおくらは自分。
 
剣で様々な迷いを断ち切り、鏡に自分の姿を映してみる。
するとそこには、地球の上に立つ自分がいる。
 
これは、地球上に立つひとりひとり、自分自身がスターであることを意味しています。
 
そして、お皿に一筆書きされた黒ごまソースは「龍」、玉ねぎソースは「雲」をイメージ。
 
すなわちこの一皿で、龍に乗った「三種の神器と自分」が空高く飛んで、雲の中までも突き抜けていく様子を表現したのです。
 
最初の一品だからこそ、背筋を伸ばした体の中をスッと流れていくような、でもふっと緊張感が取れるような、そんな料理にしたい。
そんな想いを込めて、日本の宝である三種の神器と自分がどこまでも羽ばたけるように、それでいて雲に包まれるような安らぎを感じられるような料理をつくったのでした。
 
さらにさらに、もうひとつポイントが。
 
ひょっとしたら、疑問に思った方もいるかもしれませんね。
「締めで食べるはずのお米を、なぜあえて最初に出すのか?」と。
 
お米は、日本の主食であり、ソウルフード。同時に本道さんは、お米の一粒一粒を「光の種」と考えています。
だからこそ、今回のように大きな意義を持つ食事会の場で、日本人にとって何より大切な光を最初に身体に取り入れることが重要だと考えたのです。
 
また、お米を食べると、その甘みでゆっくりと頭も心もリラックスしてくる。そうすれば、後に続く料理をより楽しめるようになるのでは?
そんなことも意識していたのでした
 
「説明すると長くなるから」という理由で、お客様の前で語られることはなかったのですが、これがこの一皿に込めた想いです。
 
口に入れてしまえば一瞬でなくなってしまうような一皿の料理に、ここまでの意味と想いが詰まっているなんて。
気持ちがぎゅっと詰まった料理は、身体に入ったときの作用も違うのだろうなぁと、改めて思わずにはいられないのでした。
 
 
そしてもうひとつ皆様にお伝えしたいこと。
この「夢のディナー」出演は、本道さんにとって格別な意味を持っていたのです。
 
でも、長くなってしまったので、また後日 記したいと思います。

 
PH1_Amano_v30_1-20150916.JPG
素揚げされるナスたち

 
PH2_Amano_v30_1-20150916.JPG
一同に介した250名分のお料理

Writer Profile

天野麻里江
天野麻里江Marie Amano

本道佳子さんマネージャー
大学卒業後、システムエンジニアとしてIT企業に入社。法務部で契約書作成にも携わる。2011年3月、本道さんと出会って価値観が大きく変わる。2013年夏に退社。本道さんマネージャーと国境なき料理団事務局を担当し、皆様に本道さんの魅力を届けるべく活動中。
小さい頃から食べることが大好きで「おいしい食べ物は人を笑顔にする」と信じている。

本道佳子(ほんどう・よしこ)
NPO法人・国境なき料理団 代表理事。高校卒業後、単身で渡ったアメリカで世界中の料理に触れる。帰国後は野菜料理のシェフとなり、『食で世界が平和になったら』の想いを胸に、病院とのコラボ「最後の晩餐」など様々な活動を続ける。その人柄と大胆でカラフルな野菜料理は評判となり、2014年「湯島食堂」閉店後も、世界の各地で愛あるご飯をお届け中。

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