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Vol.460ハタラクさんの毎日

Vol.460ハタラクさんの毎日 リアルな話。

2016.03.25

病院で検査を受けることになり、待合室で数時間座っていたときのことです。
 
わたしが行った科は、年配の方が多く来ていて、なぜかみんな話好き(笑)
初めて会った人同士でも話をするんですよね。こういう雰囲気が嫌いではないわたしは、ついついおじいちゃん、おばあちゃんの会話に聞き入ってしまいました。
 
 
わたしの隣に座った女性は、昭和10年生まれの80歳とのことでした。その年齢には見えないほど、とても溌剌としていて、きれいな人でした。
そしてその女性の隣にも、同じく80歳の男性が座っていました。このふたりの会話です。
 
男性「同じ80歳ですか。では終戦は10歳で迎えたんですね」
女性「はい、そうです。1945年が終戦なので自分の生年月日を西暦に直すとき、
10年引くとすぐにわかるので便利です」
男性「では教育勅語を読んだことも・・・・・・」
女性「もちろんあります、あります」
男性「教科書も黒く塗りつぶすように言われましたよね」
女性「そうそう、わけもわからず真っ黒に塗りましたね」
男性「それでも教師が『教科書を読め』と言うので、『真っ黒で読めません』と言ったら、
  『塗りつぶしてない文字を読めばいいんだ!』と怒られてね。
  塗りつぶしてない文字な んてほとんどないので、文章にならないんですよ」
女性「そういうこと、ありましたね」
 
 
終戦時の話を、こんなにリアルに聞いたことがなかったので、夢中になって聞いてしまいました。
 
思わずわたしは聞くことができた話ですが、こういう話が途切れることはとてももったいなく、切ないこと。
 
本物の話を聞けるうちに聞いておくことが、未来につながるように感じます。
 
 
 
病院の待合室のあの独特の連帯感、たまりませんな。
かといって病院が好きだということではございませんが。

 
 
 

Relax & Enjoy♡

Writer Profile

河田実紀
河田実紀Kawada Miki

株式会社ハタラク社代表/編集者
大学卒業後、出版社に入社。主に雑誌の編集に携わる。2011年、女性雑誌の編集長に就任。2013年5月独立。大好きな編集の仕事を軸に、今の時代だからこそできる出版の力を見出そうと、「一度きりの自分の人生、楽しんで生きる!」と決め、一歩を踏み出す。2014年12月22日に(株)ハタラク社設立と同時に、WEBマガジン『ハタラク』を開設。

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