Vol.875ハタラクさんの毎日 アメリカハナミズキ
2017.05.13
ある日、バス停でバスを待っていたときのことです。わたしの前にひとりの老紳士が、同じくバスを待っていました。
右手に杖をついて、ハンチング帽をかぶり、上質のジャケットにパンツを履かれたとても上品な方でした。
バスを待つこと数分、ふいにその老紳士から声をかけられました。
「つかぬことをうかがいますが、あの先に見える木は何の木ですかね?」
バス停の通りを隔てた向う側には、数軒の民家が建っています。
そのうちの一軒の庭先に生えている木を指しながら、老紳士は先の質問をされました。
「多分、ハナミズキかと・・・」
わたしは少し自信なさげに答えると、
「そうですよね、薄いピンクの花ですがハナミズキですよね(一般的にハナミズキは白い花が咲くので)。やっぱりそうでしたか。正式名称はおそらくアメリカハナミズキというと思いますよ」
彼の説明によると、日本がアメリカに桜を贈ったお礼に、アメリカからアメリカハナミズキが贈られ、日本でも広がるようになったそうです。
そしてこう続けられました。
「わたしが高校を卒業するときに、アメリカハナミズキを卒業祝いに学校から贈られたんです。もう70年も前のことですがね。
いやいやお話しにつきあってくださって、ありがとうございます」
こういう会話、大好きです。
こういう時間、大切です。
人それぞれの人生を感じ、垣間見られること、幸せです。
小学校の卒業祝いに学校から百日紅をいただきましたな。
あれからうん十年。
植物の成長と自分の成長。
Relax & Enjoy♡