Vol.1532ハタラクさんの毎日 草野心平さんの大好きな詩。
2019.03.01
仕事の先輩と軽く飲みながら、何かの流れで詩人の草野心平さんの話に。
私の母校の校歌が草野さんが書かれた歌詞だったこともあり、
学生時代から草野さんの詩を読むことが多くありました。
そして、思い出したんです。私が大好きだった詩。
ばっぷくどん
(詩集「第4の蛙」より)
草野心平
ばっぷくどんがうたたねの眼を覚ますと。
毛脛がある。
見ると物凄い大人物だ。
ばっぷくどんは観念した。
ただ一撃を待つだけである。
燈台の灯が闇をつらぬく勢いで。
ばっぷくどんの眼はらんらん。
今生の見納めに右と左の景色をみた。
悲しく波うつエーテルなど。
気がつかなかった色んなものが。
初めて見える。
しまった。おれの人生は。
と。
思った次の瞬間。
大人物はいつの間にかいなくなっていた。
きらめく光。
ぬくい雲。
ばっぷくどんの平べったい頭をやさしい風がなぜてとおる。
ばっぷくどんは生れてはじめて平和というものの実体を知ったかのように。
ああ。せいせいする。
するなあ。
といった。
ばっぷく。ばっぷく。
ばっぷくどんの両眼に海の碧と雲とが映る。
響きます。
詩は深くて濃密だすな。
Relax & Enjoy♡