楽しみ、楽しませ、ほんのちょっと楽になる

Vol.16暇と毒

Vol.16暇と毒 ダウンにご用心!

2015.11.10

みなさん、こんにちは。植松晃士です。
あっという間に年末に突入する勢い。一年て早いですねー。
さて。今回のテーマは『ダウンにご用心!』です。
 
先日、パリへ行ってまいりました。お仕事といっても打ち合わせが中心だったので、いつものように大量に衣装が必要なわけでもなく、きゅうきゅうなスケジュールでもなく、大阪あたりへ出張ーという気楽さで出かけたんです。
 
飛行機の中では、睡眠時間以外に12時間ちかくもほぼ会話をしないで過ごすという久々の体験。話したことといえば「beef or chicken?」くらいだもの(喜)。何もすることがないという、新鮮で暇な時間を過ごしました。すごく幸せだったわ! 
 
これを愛読してくださっている方は、暇ってよくないんじゃないの? って思うかもしれないけれど、日常的ルーティンワークの中での暇と非日常での暇は違うの。何がどう違うかといえば・・・・・・毎日繰り返す中での暇はネガティブなことを考えてしまいがちだけど、いつもと違う場所や空間での暇は有意義なことを考える。そう思うんです。
 
今回はパリに入る前にベルサイユに行ったの。毎回必ずベルサイユは立ち寄るんですが、なかなかトリアノンまでは行けなくて、今回は必ず行く! と気合を入れてベルサイユに1泊してみました。パリとは違ってかなり田舎なので、オシャレなカフェがあるわけでもなく、覗いてみたいショップがあるわけでもなく、ただただ暇なの。
 
でも、すごく素朴な風景が広がっていて、オスカルの乗った馬の足音が聞こえてきそう(喜)。 マンガや映画でもおなじみの歴史ある街並みとかを目の前にして、空想の世界で遊べたの。暇だから、暇だけど、そういう素敵な過ごし方なら有意義かな、と。
 
で、念願のトリアノンに行くにはトロッコみたいな乗り物に乗るんですが、今回はお仕事ではないのでコーディネーターがいるわけでもなく、席をアレンジしてくれる人もなく、お友達と一緒に長蛇の列に並んでみました。でも、この「並ぶ」ということさえ新鮮だったのー。非日常の「暇」が生み出した魔法よねー。ただ、いつものクセがついつい出てしまいました・・・・・・。それはもちろん、ファッションチェック。だから、並んでいる暇な時間も有意義だったのよー!
 
今回の目玉は、日本の近隣諸国の人々の観光ファッション。ベルサイユにも大量に旅行にいらしてたんだけど、団体での写真撮影に余念がなかったわー。きっと30年くらい前の日本人もそうだったんだろうけど、それにカメラは今やスマホになってますけど、パシャパシャ。しかも、自撮り棒も持参。あれって、禁止されているところが多いと聞いたんだけど、みなさんお持ちになってたわー。
 
何がすごいって、歴史ある街並みを撮影するのではなく、歴史ある街並みにいる「自分」を撮りたいらしいの。もうベルサイユでさえ、お酒のツマって感じ。で、ポーズが決まらないのか、表情が今ひとつなのか、やいやい言いながら時間かけて自撮り。「その感覚すごいわね」っていう言葉以外に思いつかない。
 
そういう方々だから、どういうファッションをしていらっしゃるかと見たら、必ず首にスカーフしているんですね。何かの目印? しかも発色のよいピンクとか赤がお好きな様子。目立ちたいのか、元気な印象にしたいのかナゾだけど。
 
そして、打ち合わせたように皆さんズボン。パンツじゃないの、ズボンよ。その境界線は、パンツは女性らしく見せるけど、ズボンは限りなくオジサンに近いもの。そして、パリが予想以上に寒かったということもあって、お約束のダウン。
 
日本の冬もダウンコートが主流になりつつありますよね。軽いし、温かいし、汚れも目立たないから便利なアイテム。でも、コートとダウンを比べたときに何が違うかって、エレガントさ! ダウンはやっぱりカジュアルなスタイルになりがち。冬のレジャーとか、ドライブデートとかそういうシーンに似合うんです。
 
髪をひとつに結んでダウンなんて着ようものなら、「奥様のおつかい?」と思われちゃう。これから幸せの頂点を迎えようとしている世代なら、なおさらダウンには気をつけなくちゃ。髪型をオシャレにして、足元や小物を上質なものにしなくちゃ、ダウンは街で着るのは、ご用心。ダウンを着るなら全体のコーディネートに気をつけるべきです。巷では、エレガントなダウンなんて言ってたりするけど、しょせんダウンはダウンよ。フェミニンでエレガントに仕上げたいなら、この冬はコートをご用意あれー!
 
では、また次の機会に!!

PH1_Hima_v16_1-20151105.JPG

Writer Profile

植松晃士
植松晃士Koji Uematsu

アタッシェ・ドゥ・プレス(※)
ファッションプロデューサー
株式会社ヘルメット/株式会社アンソニーレッド 代表取締役
数々のファッションブランドのPRを手がけるほか、ファッションプロデューサーとしても活躍中。TVや雑誌などの多くのメディアで、女性のファッションに対する独自の視点と、その辛口トークが大好評。

※アタッシェ・ドゥ・プレス
ファッションブランド、ジュエリー、コスメ、ファッションビルなどのPRを手がけるほか、ブランドのPR、ブランドディレクション、企画アドバイス、イベント企画・運営などを行います

Back Number

その他のバックナンバー

ページトップ