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Vol.38暇と毒

Vol.38暇と毒 2016夏の思ひ出。

2016.10.04

みなさん、こんにちは。植松晃士です。
「秋の日は さびし切なし部屋の棚 あらゆる花をもて飾れども(与謝野晶子)」
 
少しずつ肌寒くなってきて、思わず、
秋の短歌をくちずさみたくなるような今日この頃ですが、
みなさん、いかがお過ごしですか。
 
今回は、秋突入ということで、「夏の思ひ出」と題してお送りしたいと思います。
今年もすごく暑かったですよねー。まさに亜熱帯! 
9月は台風もばんばんやってきて、日本全国大変なことになりました。
こんなにたて続けに台風がくるなんて。
やっぱり気候が少しずつおかしくなっていますよねー。
 
さて、そんな夏でしたが、ある日、僕は人生初めての漁船に乗りました。
某番組で、島でロケをすることになり、ある漁港から島まで船で移動することになりました。

日常、僕は電車やバスに乗らないんです。車移動か徒歩が基本のライフスタイル。
たまに、飛行機降りたらバスで空港まで行くじゃないですか。それに乗るくらいかなぁ。
そんな人生で、いきなりの漁船。しかも、小さな小さな船なんですよぉ(涙)。
その上、その日は台風の影響ですっごく海が荒れてたの!
 
僕にとって最大のストレスは、人口密度と暑さ。
ただでさえ日本の亜熱帯のような暑さにうんざりしているのに、小さな船の中は熱気でひどいありさま。
スタッフさんや出演者が乗り合う中、船は激しく揺れるわ、もあもあとしてるわ、
どこかに逃げ道はないか、と探していたら・・・・・・。
 
やっと見つけたのは、操縦席(って言うの?)の入り口の外。
屋根がちょっと出ているから濡れないし、静かだし、いいかなと思って
揺れる船の上を必死に移動しました。少しでもストレスから解放されたくて。
それで、一応人口密度は回避できたの。そんなところにいるのは僕1人だもん。
あとは暑さの回避。分厚い救命胴衣を脱ぎ捨て、
少しはラクになったところで、ちょっとホッとできました。
 
でも、かなり海は時化ているから船の揺れもハンパなくて。
船酔いしないように、立ち上がったの。
そう。サーフィンするような感覚で、その揺れに対応してたの! 
今思えば浅知恵だよねぇ(苦笑)。酔わないようにするのに精一杯だったんだよねぇ。
 
立ち上がったのはいいけど、つかまるところがないわけ。
ふと見上げると漁師さんが着るカッパが下がっていて、それを頭の上で両手でつかんで
バランスを取っていたわけですよ。ぐわんぐわんと揺れる中
、両手で力いっぱいカッパをつかんで立っているという姿。
 
・・・・・・想像してみて。そんな状態、長くは続かない。
20分くらいしたら疲労困憊でへとへとになって、地べたに座り込んじゃった。
すると、そこに大きな波しぶき。まるで滝修行・・・・・・。それでも、カッパの手は離せない。
つかんだまま座り込んで、
「ひょっとして今のこの姿、まるで江戸時代の大奥の出産みたいじゃなくて?」とか思ったり。
なんて妄想できているのはましなほう。
 
1時間経ち、誰とも喋らず、揺れる船の上でカッパを握り締めて座り込んでいるのがどんなにツライことか、
思い知らされました。きっと、遣隋使とか遣唐使とか、
昔の人はこうやって荒れ狂う海の中を必死の思いで行き来したのね・・・・・・。
 
最初、船に乗る頃はレジャー気分、それがやがてアドベンチャー気分に変わり、最後はサバイバル気分。
島へ渡るだけの船の中で、こんなにもいろいろなことを体験できるなんて。
精神的にも肉体的にも軽―いショック状態になりました。
 
約半世紀近く生きているけれど、想像したこともない状態に置かれて、
いい経験になったし、確実に強くなったと思う! 
 
世の中いろいろありますが、もうたいていのことは平気。だと思います。
みなさんも、何事も経験だと思って精進しましょう。
 
そんな夏の思ひ出でした・・・また次回お会いしましょう!

Writer Profile

植松晃士
植松晃士Koji Uematsu

アタッシェ・ドゥ・プレス(※)
ファッションプロデューサー
株式会社ヘルメット/株式会社アンソニーレッド 代表取締役
数々のファッションブランドのPRを手がけるほか、ファッションプロデューサーとしても活躍中。TVや雑誌などの多くのメディアで、女性のファッションに対する独自の視点と、その辛口トークが大好評。

※アタッシェ・ドゥ・プレス
ファッションブランド、ジュエリー、コスメ、ファッションビルなどのPRを手がけるほか、ブランドのPR、ブランドディレクション、企画アドバイス、イベント企画・運営などを行います

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