Vol.16本道佳子マネージャー日記 野菜になる話
2015.04.09
先週の金曜日。子どもたちが採ってきた野草でお料理をつくる、「野草の会」が、岐阜で開催されました。
協力してくださったのは、岐阜県の高桑にある「なずな農園」さん。
農園の代表をされている女性は、少し年配の方。その方の思いの熱いことと言ったら。
どんな思いで野菜をつくっているか、なぜ今アレルギーやアトピーの人が増えているのか、農家は今後どうしていけばよいか、など、ご自分の思いをたくさん話してくださいました。
そして、こう言ったのです。
「野菜はね、自分がいる場所で必要な栄養を吸収する。
そこに毒があれば、自分で体を守る物質をつくって、その毒に負けないようにするの。野菜って本当に生きる力が強いんだよ。」
この話を聞きながら思い出しました。
本道さんが時々皆さんにしていたお話の中で、私が特に好きなもの。
それは「野菜になる話」。
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野菜には足がない。
だから自分で移動できない。
でも、種がまかれたその場所で芽を出し、花を咲かせ、実をつける。
野菜は、自分が置かれたその環境で精一杯生きている。
私たちも、野菜みたいに生きてみるのはどうですか?
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こんなお話です。
あー。なんだか私が活字にして書くと、やたら硬くなっちゃいますけどね。
本道さんがつくる、キラッキラな野菜料理を食べた後に、あのビッグスマイル&柔らかな言葉で話をしてもらうと、すーっと心に入ってくるわけです。
これで何が言いたいかというと。
「どんな人だって、今自分がいる環境で、自分らしく花を咲かせることができるんですよー。」ということ。
もちろん、『だから今の状況を我慢して、今いる場所で頑張りましょう!』ということではないですよ。
ただ、その環境が良かろうと悪かろうと、その場所でしっかりと栄養を蓄え、成長し、生きる野菜になぞらえて。
「うまくいかないのは、今いる環境が悪いせいだって思ってしまうこともあるけれど。本当は環境など関係なく、どこでだって花を咲かせることができるぐらい、あなた自身の力は大きいんですよー。」
そう伝えてくれているのです。
あまり難しいことを考えずに、野菜みたいにまっすぐ生きてみると、もっと楽に、もっと楽しく生きられるかもしれませんねー。
そんなメッセージも、込められているのだと思います。
なずな農園の方のお話を聞いた瞬間、この「野菜になる話」を思い出して嬉しくなりました。本道さんが感覚でとらえ、話してくれていたこのお話を、農家の方が証明してくれたような気がして。
さて、ここで。本道さんという人を見てみると。
今日この場にいたと思っても、明日どこにいるかはわからない。そんな毎日の繰り返し。
一見すると、ひとつの場所に留まって実をつける野菜のように生きているとは、とても思えません。
でも、よくよく考えてみると、vol.1のホテルでのビュッフェのお話や、vol.10のグラノーラの話のように、本道さんには枠がない。
「〇〇がないから、××ができない」などという発想はこれっぽっちもなく、その場その場で、その時ある物を使って、最高のものを生み出していく。
これって、まさに野菜ですよね。
1日どころか、ほんの数時間という、目にも止まらぬ速さで急成長する野菜。
その場にあるものを把握し(=栄養を蓄え)、あっと驚くアイディアが浮かび(=芽を出し)、魔法のように調理をし(=花を咲かせ)、皆さんに食べてもらい、喜んでいただく(=実をつける)。
今回この話を思い出したときに改めて、本道さんは、毎日いろいろな野菜になっているんだなぁと、気が付きました。
そして、「野菜になる」のはもっと長いスパン、例えば1年とか5年とか10年という長期決戦だと考えていたのですが、まさかの1日勝負という短期決戦もあり得るのだー、ということもわかりました。これもまた新たな発見。
どんな野菜になって、どういう期間で、どんな育ち方をするのか。それは全部、自分で選ぶことができるということなのでしょう。
こんなことを考えながら、なずな農園の女性と、本道さんが話す様子を見ていると。
2人ともが、それぞれまったく別の環境ながら、野菜みたいに生きている人に見えました。
温かい気持ちと強くまっすぐな心を持って、自分が今いる環境で出来ることを精一杯やっている人。
「野菜になる」、「野菜みたいに生きる」とは、こうも凛として美しいことなのかと背筋が伸びる思いがしました。
よし。私も、自分だけのきれいな花を咲かせ、実をつけるぞー。強く、まっすぐ、そして楽しく!
真っ赤な大根と菜の花
いろんな色のプチトマト